風力タービンはなぜあんなにゆっくり回るのか?
風力タービンの羽根はゆっくりに見えますが、その先端は空気の中を高速で進んでいます。では、なぜ速く回せば回すほど電気が増えるわけではないのでしょうか?
羽根の先端速度と空気力から始めて、ピッチ制御とトルク制御、歯車式のドライブトレイン、電磁誘導、パワーエレクトロニクス、ダイレクトドライブまでをたどります。役に立つ回転速度は、風、羽根の設計、そして機械の運転限界によって決まります。
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ゆっくりに見える回転
風車は風をとらえるための機械です。なぜ羽根はこんなに遅く見えるのですか。速く回れば、もっと発電できるのでは?実は、回転が遅く見えても、先端は猛スピードで進みます。
それに、速ければ良いとも限りません。適切な速さは、風や羽根の設計、機械が安全に耐えられる範囲で決まります。
遅いローターの速い先端
同じ羽根の、ハブ付近と先端の二点を見ましょう。二点は一緒に一回転しますが、同じ時間で先端はずっと長い道のりを進みます。具体例として、2020年公開の研究用設計、アイイーエー15メガワット参照タービンを見ます。ローターの直径は240メートル、定格回転数は毎分約7回転半です。
半径120メートルなので、先端は秒速約95メートルで空気中を進みます。回転数は少なくても、描く円が巨大なので、先端の速さに気づきにくいのです。次は羽根の一部と一緒に動き、その部分が受ける気流を考えましょう。そこから見た気流は、風と羽根自身の動きが合わさったもので、羽根に斜めに当たります。
翼型は相対気流に垂直な揚力を生み、抗力は気流に沿って働きます。生じた空気力の一部は回転方向に働き、羽根を押してハブを回します。別の成分はローターを軸方向に押し、構造がその荷重を支えます。羽根の速さや角度を変えると、受ける気流が変わり、回す力と荷重の両方が変わります。
役に立つ速度を探す
技術者は、羽根の先端の速さと風速の比を、周速比と呼んで使います。先端が風の9倍の速さなら、単位に関係なく周速比は9です。羽根の設計とピッチ設定ごとに、気流のエネルギーを取り出しやすい運転範囲があります。回転を速めると、その範囲に近づくことも、上げすぎて再び離れることもあります。
周速比だけで、すべてのタービンの最適設定は決まりません。アイイーエー参照設計では、空力出力係数が最大になる設定と、実際に選ぶ運転点を分けていますが、荷重にも配慮が必要だからです。この設計では、定格風速未満の主な運転範囲で、発電機のトルクを制御し、選んだ周速比に近づけます。
発電機が回転にかける抵抗を調整すれば、制御器はローターの速さを変えられます。風が弱いときは、最低回転速度も保つため、制御の仕方が変わります。定格出力の手前でも、実際のタービンには限界があり、常に一つの理想的な周速比には従えません。参照機が定格条件に達すると、羽根のピッチ制御で定格回転速度付近に保ちます。
羽根を長手方向の軸まわりに回すと、気流との角度が変わり、取り込む出力を抑えられます。羽根とタワーは荷重に耐え、たわむ羽根はタワーとの間隔を保つ必要があります。制御器は設計上の限界を守ります。風が強くても、回転数と発電出力を際限なく上げてよいわけではありません。
トルクを速度に変える
ギアボックスを見るため、別の機械に移ります。エヌレルの750キロワット、ギアボックス信頼性共同研究の駆動系です。この旧型機は発電機の公称速度が二つあり、可変速のアイイーエー設計とは仕組みが違います。主軸をハブからギアボックスへたどると、遊星段一段が平行段二段につながります。この試験条件では、主軸は毎分約22回転、発電機軸は約1800回転です。
ギアボックス全体では、入力一回転につき出力は約81回転半です。最終段だけでも4対1で、歯数88の歯車が歯数22の小歯車を回します。歯が次々とかみ合うため、小さい歯車はその分多く回る必要があります。これが各段の速度比を決め、発電機までの全体の比は、各段の比を掛け合わせた値です。
機械的出力はトルクと角速度の積です。軸が速く回っても、ギアボックス内で出力が増えるわけではありません。損失のない定常状態では、速度が増すのと反比例してトルクが減り、伝わる出力は変わりません。実際は摩擦で損失が生じ、ギアボックスから出る機械的出力は、入る出力より小さくなります。増速すると、ローターを高速回転の発電機につなげられ、低速の発電機より小型にできます。
観察のため、つながった軸をすべて同じ割合で遅くして見せています。歯車比で回転速度の違いが分かりました。では発電機は、受け取った機械的出力をどう電力に変えるのでしょう。
電気への受け渡し
ここでは、磁場の発生源が回り、コイルは固定された簡単な発電機モデルを見ます。電磁誘導だけを示す図で、ジーアールシー発電機の実際の構造ではありません。発生源が回るとき、一つのコイルを貫く磁場を見ましょう。コイルを通る磁束が変わり、ファラデーの法則がその変化の速さと誘導電圧を結びつけます。
この単純な回転モデルでは、磁束は一回転で増減し、誘導電圧は向きが変わります。電圧は磁束の変化の速さに従うので、電圧のピークは磁束のピークと一致しません。回路を開いたままでも、変化する磁束は端子間に電圧を誘導できます。この理想的な開回路では負荷に電流が流れず、電圧だけでは有用な電力が伝わったとは言えません。
負荷をつなぎ回路を閉じると、電流が流れ、発電機から負荷へエネルギーを送れます。その電流は、自らを生んだ変化を妨げる磁場を生み、発電機の回転に電磁的な抵抗をかけます。電力を送り続けるには、軸が抵抗に逆らう機械的な仕事を続ける必要があります。これがトルクと発電のつながりです。ローターの回す力がエネルギーを与え、
発電機と接続された回路が、その取り出し方を決めます。
発電機から送電網へ
電気的な接続は、エヌレルの先進制御研究用風車、カートスリーに基づく、文献に記されたフルコンバーター研究モデルで見ます。ここではパワーエレクトロニクスが、動作の変わる発電機と交流の電力網をつなぎます。報告されたモデルでは、整流器が発電機の交流を直流に変え、その直流が直流リンクを通ります。次にインバーターが、直流を、電力網の周波数に合わせて制御した交流に変えます。
この構成なら、発電機の回転速度や電気の周波数が変わっても、電力網の周波数を変える必要はありません。基本的な構成では、系統側コンバーターが直流リンク電圧と、電力網とやり取りする電力を管理します。変圧器は別の仕事をします。交流の電圧を変えるのです。同じ電力を送るなら、送電電圧を上げるほど電流を減らせ、風力発電所から送り出す送電線の損失を抑えられます。
発電所の電気網は各タービンの出力を集め、変電所を通じて広い電力網につなぎます。風が機械的エネルギーを供給した後、それを電力網へ送る各段階を、発電機、コンバーター、変圧器が分担します。
増速機をなくす
ここで、ダイレクトドライブのアイイーエー15メガワット参照設計に戻ります。ローターは増速ギアボックスなしで発電機につながり、発電機はローターの低い回転速度で働きます。この発電機では、回転する外側部分に永久磁石が輪状に並び、コイルを備えた固定部分を囲んでいます。磁極が多いため、ゆっくり一回転する間にも、磁極がコイルの前を通るたびに磁場が変わります。
増速機がないとローターと発電機の組み合わせは変わりますが、羽根の空力的役割は同じです。直接駆動でもトルクとピッチを制御し、ローターの運転限界内でエネルギーを得ます。ギアボックスの構成は機械的な接続を、コンバーターの構成は電気的な接続を表します。それぞれが示す内容は異なります。遅く回るローターだけを見ても、駆動系と電気系統の全体像は分かりません。
ローターをもう一度読む
広い円を回る先端を、もう一度見てください。ローターが毎分数回転でも、先端は速く動きます。一回転ごとにとても長い距離を進むからです。速く回す効果があるのは、限界内で適切な運転条件に近づく場合だけです。出力は回転を生むトルクと、発電機や電気系統がエネルギーをどう伝えるかにも左右されます。
遅く見える回転も、気流と電力網の間の、制御されたエネルギー交換の一部です。制御器は風の変化に合わせて羽根のピッチと発電機トルクを変え、ローターを設計範囲の中で働かせます。
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出典
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